転職先は既に危機的状況だった!

会社

今日のテーマ「転職先は既に危機的状況だった」これは、僕の体験談なんです。

昔、僕が転職した会社なんですが、規模は中小零細企業です。

ある商品を製作しているBtoBの会社でした。面接の時は採用担当者から「内の会社の売上規模は○○億円です。」と聞かされていました。感覚としては売上規模からみて社員数も適正な人数で、どちらかと言えば筋肉体質な会社で、悪くないな~って言う感じだったのです。僕が入社した場合に会社側が僕に何を望んでいたかと言うと・・・

営業としての纏め役

取り扱っている商品の新規開拓を含めた拡販

に努めて欲しいとの事でした。最初のイメージが悪くなかったので、僕としてもやりがいのある会社と思いその後、数回の面接を終えて、入社することが決まりました。

いざ、入社して見ると、聞かされている売上規模から見ると、随分とのんびりしている雰囲気で、これでは、とても○○億円の売上は難しいと感じていました。

もう一つは、会社の中の主要メンバーの人たちが、現状売上がどのくらいあって、今期の見通しがどのくらいになるのか?知らされてないし、危機感もあまり感じていなかったのです。

認識している人たちは社長と社長を取り囲む取り巻き連中だけだったのです。

ヤバイな~と感じ、入社して直ぐに、他の営業スタッフから自社の慣習や今後の仕事の見通しを聞きつつ、夜、他の社員が帰った後、現在の売上状況と今後の売上見通し及び今、お取引している会社を調べてみたのです。

なんと!現在の売上はと言うと月ベースに換算すると半分以下、最終的な通期の売上見通しも前年度と比較して半分いくかいかないか?と言う惨状でした。

又、お取引しているお客様の数も聞いていた数の十分の一程度だったのです。お取引実績を見れば、確かにお取引するお客様の数は、面接時、採用担当者が言っていた数はあるのですが・・・現状は言葉が出なくなってしまうくらいお取引数が減少していると言うか消滅しているのです。

さらには、これほど酷い惨状にも関わらず、社長をはじめとする取り巻き連中は売上を伸ばす為の施策を何も打ってこなかったのです。これでは、益々、ジリ貧な状態になる事は明白だったのです。

僕は営業の纏め役を受けていたので、早速、各地にある工場、営業所の実情及び今期の見通しと来期の計画を現地に赴いて膝を突き合わせて聞き取り調査を実行しました。

・今期の売上、来期の計画とも自分が調べ想定していた以上にかなり厳しい状況でした。

・工場も原価管理が不十分で一部の商品は利益を確保するのが難しい状況でした。又、仕事量も減っていたので、工場に活気と言うか覇気が感じられませんでした。

本来なら全て平行して問題点の改善に努めかったのですが、今まで何も手を打ってこなかったので、いきなり既存スタッフに任せるよりは、ある程度、僕が道筋をつけてから、段階的に僕の業務を落し込むことにしました。そして優先順位と内容ですが以下のとおりとしたのです。

1.売上確保の為、既存の販売店及び代理店との関係性の再構築、既存海外エージェントとの業務提携の再確認、保守サービスの提案

→まずは売上を確保することを優先します。どうしても産業材なので、いきなり商品を購入してもらえるお客様は緊急性があれば別ですが、ほとんどいません。先ず種まきが第一優先だったのです。ただ、むやみやたらに営業マンを増員する訳にはいきませんので、過去、販売店や代理店をやってもらった実績のある会社にお願いすると同時に自分は過去の納入実績を参考に売上に直ぐ寄与してくれる商品の保守サービス中心に注文を取りに行きました。

2.サービスマンの教育。

→商品を使用してもらっているお客様を調べ保守サービスの提案をするには、サービスマンの教育が急務となります。お客様との応対の仕方、保守サービスを実施する時に注意しないといけない点、さらには、次回、保守サービスの必要性を説明する仕方を教育しました。

(何故かと言うと、商品に対するアフターサービスに今まで力を入れてなかったので、お客様から依頼があればやる。と言う状態だったのです。それを毎年、保守サービスを実施して頂くにはサービスマンの認識を改め直させる為の教育が必要だったのです)

実は、扱っている商品と言うのは使用されている部品が消耗品だったり、長年使用していると商品の調整などが必要になってくるのです。些細な事でも、整備がされていないと、あとあと商品のトラブルに繋がり、お客様の生産ラインで使用されている為、ややもすると生産ラインがストップする可能性もあるのです。予防保全も含めて保守サービスは必要なのです。この必要性をお客様に今まで説明していなかった為、トラブル対応の時も、説明不十分で、お客様に誤解を招くような行為があり、お客様を不快な思いにさせてしまっているのです。このような事も一因として顧客離れが続いていたのです。

3.工場の原価管理をする前に・・・

製造中に派生した鉄くずをダストボックスに溜めておくのですが、そのダストボックスを見ると、手配したばかりの部品が混じっていたりしているのです。設計ミスなのか?組み立て中に部品を壊してしまったのか?分かりませんが、これでは、原価管理をする以前の問題で、先ずは生産体制・管理の見直しが必要だったのです。

矢継ぎ早に手は打ったのですが、その効果が現れてくるには1年から2年はかかります。でも愚直に続けていかなければなりません。

又、別の問題も発覚したのです。国内の販売店及び代理店や海外エージェントとの関係性が急激に悪化していった理由があったのです。実は何のお断りや前触れもなく、商品価格の引き上げをしていたのです。当然、直接お客様と取引している場合も同様の対応をしていたのです。この所業もお客様離れが起きている要因となっていたのです。

さて、最終的には各営業所を回って聞き取り調査した結果を元に改めて今期の見通しを資料として纏めた結果、前年度と比較して前年度売上の3分の一がいい所でした。

この纏めた資料を社長並びに取り巻き連中に見せた所・・・

・営業マンを増員して売上を上げろ!

・新規開拓を急げ!

となったのです。

又、拙速にも会社の中の主要メンバーを中心に人事異動や降格など何らかの理由をつけてやり始めたのです。人事に手を付ける前に、先ずは、危機感を共有して社員それぞれが取り組まないといけない事を明確にして、目線を合わせることをしないといけないのに、いきなり、人事に手を付けるのです。同時に給料についても昇給なし、ボーナスは大幅減となっていくのです。

何の具体的な説明もないので、そうなると、自ら辞める人もぽつぽつと出て来ます。仕事量が減っているので、スタッフが居なくなると、固定費が浮いて、会社が身軽になると普通は思いますが、中小零細企業の場合、むしろギリギリの人員でやっているので、人が一人でも辞めると困ります。困った状況になって社長や取り巻き連中が、その分をカバーしてくれればいいのですが、絶対にやろうとしないのです。

それよりも・・・

社長や取り巻き連中はと言うと誰かを犯人にして、その人の責任にしようとやっきになります。そして周囲にも「あいつが悪い」と言いふらすのです。責任を吹っかけられたスタッフは、そのような会社に嫌気がさして、静かに辞めて行きます。

周囲のスタッフはと言うと、ダンマリを決め込んでいます。自分たちが睨まれないようにするのです。

何故?こんなに強気なのか?と言えば・・・

・中小企業なのである程度、会社として蓄えがあり、その間に持ち直せることが出来ると根拠もなく思っているのです。

・スタッフが辞めても新たに求人すればいいと思っているのです。むしろ新しい人を採用することで、給料を抑えられると考えているのです。

・営業を大々的に増員して営業力を上げれば売上は上がると本気で思っているのです。競合他社やお客様の事情を考えていないのです。(ましてや入社してきた人たちが、会社に馴染んで本当に戦力になる時間を考えていないのです、むしろ入ったら即戦力で直ぐに注文を取ってくるだろうと考えているのです)

本当に困ったものです。

さて、僕が矢継ぎ早に手を打った効果は、現れてくるのに、1~2年は必要なのですが、社長や取り巻き連中は、じれて来ます。結果が出ないことに・・・

ついに来たな~って感じなのですが・・・僕に責任を負わせようとするのです。周囲のスタッフにも僕の悪口を陰で言うようになります。(やり方が悪いし遅いと・・・)

又、僕が他のスタッフに指示した内容を覆そうとするのです。要するに邪魔をするのです。

社長や取り巻き連中には、少しでも理解をしてもらいたくて、改革案と実際に行動している内容を分かり易く説明をしていたのですが、このような人たちは残念ながら聞く耳すら持っていないのです。耳を傾けるとすれば、銀行やコンサルティング会社の意見だけなのです。

実際に行動している施策ですが、徐々に「新しい芽」が見られるようになってきたのですが、悪者にされてしまえば、社内での求心力をどうしたって失います。中途で入社し、先ずは道筋をつける為、単独で行動していたこともあり、働いているスタッフからすれば、僕が何をしているのか見えていない部分も多々あったと思います。それと、やっぱり給料を貰っているのは、社長やその取り巻き連中からなので、彼らの言う事を信じてしまう傾向にあるのです。致し方ない事なんですが、僕から見たら、これで万事休す!残念ですが、上層部との信頼関係が壊れてしまえば、現時点でやっている施策は難しいと判断し会社を辞めるしかなかったのです。ここで僕の冒険も終わりました。

ただ、辞める時、悔しさとか、憎さとか、そんな気持ちが僕の中で込み上げてくるか?と言えば全くなかったとは言い切れませんが、不思議なことに、僕が打った施策が少しずつ「新しい芽」が見えてきた方がうれしかったと言うか、自分の考えに間違いはなかったと言う安堵感があって、「ほっとした」思いの方が強かったのです。

僕が辞めた後の会社は・・・・・主要なメンバーをはじめ、古参のスタッフもほとんど辞めてしまい新しいスタッフが中心になって会社が運用されています。又、固定費を削減する為に各営業所の統廃合を進めて今も健在しているのです。会社はなかなか潰れません。

ただ、、、たまたま、最近、会社を辞めた人とばったり会ったのですが、その人が言っていたのは「社内が暇すぎて辛かった」と・・・それが何を物語っているのか、その言葉で分かります。注文を取るのに魔法はありません。方針を決めて地道にこつこつとやっていくしか、次の道は開けないのです。

いかかでしょうか?今日は僕の体験談です。こういう会社も世の中にはあるのです。

結果的に会社は辞めましたが、あらためて勉強と言うか再確認できたのは、会社はトップ次第でいくらでも生まれ変われることは出来るし、そのトップが最終的には方針を決断しそれを実行させる力と、任せた後の我慢が必要でもあるのです。又、代が代わっても創業時の理念や理想を大切にしながら、その想いを行動で示していかなければ、いずれ会社は潰れなくても衰退していくんだ!とまじまじで肌で感じる事が出来ました。あと・・・会社と言うところは、本当に、入社してみないと分からいと言う事をあらためて思いました。

今日はここまでです。最後まで読んでくれてありがとうございます。

今日も一日良い日でありますように。

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