涙には色んな意味があると思います。
僕も泣きました。
若くして後輩が亡くなった時です。まだ20代でした。
ちょうど1年後輩として会社に入社してきた後輩A君、配属は隣の部署でしたが、凄く明るく声も大きく一生懸命に仕事を覚えようと必死になっていました。僕もそんなA君を見ていて元気をもらって負けずに働いていたのを覚えています。
そして僕が転勤で地方に赴任してA君とは離れてしまったのですが、時々、本社で会議があると、相変わらず元気な彼の姿を見て僕も何故か安心していました。
それから数年後30代に突入寸前で、A君が体調不良で故郷にある病院に入院していると聞きました。あまり病状が芳しくないと言う事も人づてに聞いていたので心配をしていました。
気にはなっていて、仕事が一段落したので、ようやくお見舞いに行くことが出来ました。
A君に声をかけると・・・
本人がびっくりした顔でこちらを見てるのです。
本人に聞いたのですが、故郷にある病院に入院しているので、同じ部署の人もほとんどお見舞いに来ないのに、わざわざ遠い所まで、それも事前に何の連絡もなくひょこっと現れたのでビックリしてしまったと言うことなんです。
僕もA君を久々に見た時はそんなにげっそりと痩せた感じもなく、むしろ元気そうだったのでちょっと安心したくらいでした。
たまたま行った時はご両親もお見舞いに来ていなくて、ゆっくり話しをする事が出来ました。
色々とお話をする中で最後にA君が言っていたのは職場内で、ある先輩からいじめに近い嫌味な事を色々と言われて悩んでいた事を聞きました。A君からしたらかなりのストレスが溜まっていたんだと思います。その頃から体調を崩して結果的に入院を余儀なくされた事を話してくれました。
僕もその先輩の事は良く知っており社歴も長くちょっと癖のある先輩でした。どちらかと言えば陰でぐちぐち言うタイプの人なのです。
A君は明るく楽しく仕事をするタイプで尚且つ優しいので、何と言うか頼まれたら断れないタイプの人間でした。
そんなA君にぐちぐちと言う先輩の姿は僕も想像出来ました。
実は、この話をしだすとA君は涙を流しはじめたのです。それだけ本人に取っては本当に辛く苦しかったんだと思います。
それとA君は以前、その先輩と僕が仕事のやり方について言い合いをしていて負けてなかった僕の姿を見ていて、A君自身ももっと言いたい事を言っていればと後悔をしていたのです。
僕はただただA君の話を聞いてあげるだけでした。
僕に話した後、気持ちが少しスッキリしたのかタバコを吸いだして笑顔を見せてくれたのでお見舞いに来て良かったとつくづく思いました。
そして又、来るからと言ってA君に手を振って別れました。その笑顔がA君との最後でした・・・
一か月後、A君の訃報が届きました。(A君は胃癌を患わっていて癌があると分かった時には既に進行していて難しい状況だったのです)
僕は知らせを受けて、一人になって泣きました。
何て言うかA君の立場で考えると、仕事も遊びも恋愛もまだまだ一杯したかっただろうな!と考えると身近で若い人が亡くなることが、これほど辛く、やるせない気持ちで本当にショックでした。
それと怒りも込み上げてきましたA君が泣きながら話してくれた先輩の事や同じ部署の人たちが何でもっとA君のストレスを感じて緩和してあげようとしなかったのか?それとも気付かなかったのか?とにかく本当に残念でたまりませんでした。
僕はA君の最後の笑顔と涙の顔はいつまでも忘れることはないと思います。僕がA君にそこで教わったことは、我慢しちゃダメと言う事です。
多分、今まで悶々としていて誰かに話したくても話せない状況だったので、物凄く我慢していたんだと思います。泣きながら話してくれた内容は確かに過去の嫌な先輩の事ですが、別にその先輩に屈した訳じゃないし、負けた訳でもないのです。
でも悔しいから泣いた。素直に自分の感情を我慢しないで出す。そうすることで自分の中に溜まった膿を涙と共に吐き出してくれたんだと思います。
会社にいれば必ずって言っていいほど、嫌な奴は湧き出てきます。そんな時は悶々とせず悔しい涙を流してもいいし、海岸など人気のない場所で、ムカつく人を罵倒したっていいんです。我慢しなくていいんです。
いつだって、泣いていいんだよ。
それは決して誰かに負けたわけじゃないから。それよりも涙の後に君に強さと勇気を与えてくれます。絶対に。
今日はここまでです。最後まで読んでくれてありがとうございます。
今日も一日良い日でありますように。
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